この記事ではパキポディウム・ブレビカウレ(恵比寿笑い)の基本情報や育て方のご紹介と、実生からの育成記録を書いています。
パキポディウム・ブレビカウレ 基本情報
基本情報
- パキポディウム・ブレビカウレ(恵比寿笑い)
- Pachypodium brevicaule
- キョウチクトウ科 Apocynaceae
- パキポディウム属 Pachypodium
- 原産・生息地:マダガスカル中部
特徴
ブレビカウレはあまり枝を伸ばさず、塊根は岩のようでモコモコとしている姿は大きい生姜みたいです。
トゲはほとんどなく、葉の根元がチクチクしている程度。
パキポディウムの中で花つきが良く、春に黄色い花を咲かせます。
ブレビカウレの中でも少し特徴が異なるものがあるのでご紹介。
マダガスカル中部「イトレモ山脈由来の株」と「イビティ山脈由来の株」
イトレモ山脈の株の方が、茎・葉・花が小さい。
ブレビカウレ・レウコキサンツム
白い花を咲かせる。
パキポディウム・デンシカウレ(恵比寿大黒)
デンシフローラムとブレビカウレを交配させた種です。育て方で後述しますがブレビカウレは日本で育てるには少し気難しいとされています。
そこでデンシフローラムの丈夫さとブレビカウレの特徴的な見た目を掛け合わせて作られたのが「デンシカウレ」です。
※キョウチクトウ科には毒を持つ種があります。食べることは無いと思いますが、剪定時に手袋をしたり、小さなお子さんやペットの誤飲に注意してください。
パキポディウム・ブレビカウレ 育て方
ここで記載する内容は調べてみて、私たちが目安にしているものになります。
季節ごとの管理方法
生育期と休眠期があり、特徴がこちらです↓
- 生育期:休眠期が終わり、新芽が出てくると生育期に入る
- 休眠期:気温が下がって落葉すると休眠期に入る
年間を通して
- 日がよく当たる場所で管理
- 風通しを良くする
ブレビカウレは年に2回生長が止まるので水やりに注意です。
春(10~20℃)
気温が上がると生育期に入る。
置き場所:できれば屋外で、しっかり日光に当てる(直射日光でもOK)
水やり:新芽が出始めたら徐々に水やりの頻度・量を増やし、土が乾いたら水をやる。
梅雨
梅雨の日照時間不足や湿気で土が乾かないと根腐れなどになってしまうため、土の乾燥具合を確認しながら水やりする。
置き場所:できれば屋外で、しっかり日光に当てる。雨には当てないように。
水やり:土が乾かないと蒸れてしまうので、土が完全に乾いたら水をやる。気温が高くなると生長が止まるので様子を見ながら。
夏(20℃以上)
真夏は生長が止まります。
置き場所:半日陰が無難。屋外なら午前中だけ日が当たる涼しい場所に置く。
水やり:成長が止まるので、水やりは控えめに。土が乾いていることを確認する。
秋(10~20℃)
置き場所:できれば屋外で、しっかり日光に当てる(直射日光でもOK)
水やり:土が乾いたら水をやる。落葉し始めたら徐々に水やりの頻度・量を減らす。
冬(15℃以下)
気温が下がり休眠期に入る。
置き場所:気温が8℃以上を保てる場所で管理
水やり:断水。ただし実生した苗など場合は、月1回根が湿るくらいの水やりをする。
自生地の環境
ブレビカウレはマダガスカルの中部から南にかけてイトレモ山脈、イビティ山脈の高地1400~2000mに分布している植物。
マダガスカルは夏の雨季と冬の乾季があるのですが、東側と西側で降水量が変わり、気候区分が違います。
首都アンタナナリボから、フィアナランツォアの範囲なので1番近いのは②の温暖な気候だと思われますが
分布している標高が高いため1~4℃くらい気温が低く、雨季・乾季のない温暖な気候の可能性もあります。
①沿岸部は蒸し暑い熱帯性気候
年間平均気温:23℃(17~30℃)、年間降水量は3400㎜程。
雨季(暑):22~30℃、降水量は約2100㎜
乾季(寒):17~25℃、降水量は約1300㎜
②内陸部の高地は温暖な気候
年間平均気温:19℃(14~24℃)、年間降水量は1400㎜程。
雨季(暑):17~27℃、降水量は約1300㎜
乾季(寒):7~20℃、降水量は約100㎜
③南西部は半砂漠で乾燥した気候
年間平均気温:24℃(18~29℃)、年間降水量は420㎜程。
雨季(暑):22~32℃、降水量は約360㎜
乾季(寒):14~27℃、降水量は約60㎜
日本(東京)は温暖湿潤気候(Cfa)年間平均気温:16℃(2~35℃)で年間降水量は1470㎜程。
自生しているイビティ山は岩がゴロゴロしている山で、ブレビカウレは岩の間から生えています。
背の高い木は点々としていて、低い草木が多く茶色っぽい乾いた感じの山です。マナンベパームというヤシや色んな種類のアロエも生えています。
耐性
- 耐暑・耐寒:他のパキポディウムに比べて低温に耐えられる。
- 耐陰性:耐陰性は不明だが、元気に育てる為には日光が必須。
- 乾燥・湿気:乾燥を好む。土がずっと乾かないなどのジメジメした状態はNG
ブレビカウレを育てるのは「難しい?」
前述したようにブレビカウレは標高の高い所に自生しています。
そのため日本の気候に合いづらいのか「ブレビカウレを育てるのは難しい」と感じている人が少なくないです。
日光を当てた方が良いのはもちろんなのですが、直射が良いという人・涼しい半日陰が良いという人など様々。
また1年で2回、夏と冬に生長が止まるので、うっかり夏に水をあげすぎると根腐れしてしまうこともあるようです。
ブレビカウレを始める際は「日本の環境に適応している方が育てやすい」ということで
- 原産地の株より日本で種から育てている株の方が育てやすい
- 株より実生から始めた方が育てやすい
といった話もあります。
パキポディウム・ブレビカウレ 実生について
パキポディウムは基本的に25~30℃で管理。直射日光には当てず、日が入る明るい所に置いています。
発芽するまではタッパなどの容器に入れて腰水にし、多湿にしています。
腰水をやめるタイミングや植替えなどは様子を見ながらやっているので、経過を見てもらえたらと思います。
※ブレビカウレの発芽率はイマイチなので良い方法を模索中です。
実生のやり方はコチラに詳細を書いています。
-
初めての実生に挑戦!パキポディウム、アデニウム、ディオスコレアの種を蒔きました
2022/03/14追記 記事をご覧いただきありがとうございます。 現在は、この記事で紹介しているやり方から改善をした方法で実生を行っています。 最新の実生方法の記事はコチラ▼ こんにち ...
パキポディウム・ブレビカウレ 育成記録
2021年7月実生
種5粒からスタートして現在3株。
発芽が早く、腰水は1週間程で卒業して水やりに変更。
2021年9月
温室に移動してから生長がイマイチ。
温室管理なので休眠期は無しで土が乾いたら水やり。
2022年3月
復活して元気になってきました。
最近の状況から見たい方はコチラをクリック
(記事の一番下に飛びます)
2021年7月 ブレビカウレの種を購入
種の大きさは大体5㎜くらい。
色々調べてみると6月くらいに始めるのが良さそうです。
7月16日にスタートですが、まぁ大丈夫でしょう!
2021年7月17日 播種
播種が完了しました。
実生のやり方などはこちらの記事で書いています。
-
初めての実生に挑戦!パキポディウム、アデニウム、ディオスコレアの種を蒔きました
2022/03/14追記 記事をご覧いただきありがとうございます。 現在は、この記事で紹介しているやり方から改善をした方法で実生を行っています。 最新の実生方法の記事はコチラ▼ こんにち ...
2021年7月19日 1個目の発芽確認
種を蒔いてから3日目で1つ発芽してるのを確認できました。
ホロンベンセより1日遅れでの発芽。
同じパキポディウムなので発芽するのも同じタイミングだと思っていたので、もしかして発芽しないのではと思いましたが無事に1粒発芽して一安心です。
2021年7月21日 いじったら芽を崩してしまった
19日に発芽した種は、殻が外れていなかったので取ってあげようと思ってピンセットでいじっていたら崩れてしまいました(汗
結構、硬そうに見えたけど脆かったのか痛んでいたのか…
2021年8月2日 5個中3個目が発芽
これが3個目に発芽した種です。2つ目に発芽した種はどんどん小さくなりダメになってしまいました。
この時点で腰水を辞め、こまめに水やりに変更。
この子だけでも順調に育ってほしいのですが大丈夫か心配です。
2021年8月8日 恵比寿笑いの実生失敗
恵比寿笑い、全滅しました。。
1個でも育って欲しかったんですが残念です。
同時に種を蒔いたホロンベンセは5個中3個発芽で現在も生長中。
やり方を変えて2回目に挑戦してみます!
【播種2回目】2021年8月 恵比寿笑いの種を再度、購入
1回目の実生は直感的に失敗しそうだったのでseed stockさんで10粒買い足しました。
たまたま4粒のおまけつきで、種は14粒。
と言うことで8月2日から実生第2弾を追加で行っています。
今回はseed stockさんのパキポディウムの育て方を参考にしながら育ててみます。
次こそは!
【播種2回目】2021年8月2日 再度、播種
ブレビカウレは1番左側、2列で植えました。
ちなみに他の種は右側から
- アガベ・マッケルベヤナ
- パキポディウム・カクチぺス
- パキポディウム・ロスラーツム
- パキポディウム・デンシフローラム
です。
【播種2回目】2021年8月6日 4粒発芽
種を蒔いてから4日目に4粒発芽しました。
このまま順調に発芽してほしい!
隣のデンシフローラムは結構、発芽しています。
【播種2回目】2021年8月8日 前回と同じパターンか?
6日に発芽した4個中2個が順調です。
残りの2つは黄色っぽくなって成長が止まる現象が…これ前回ダメになってしまったパターンと同じような気がして不安です。
暑さで蒸れて傷んでしまったのが原因かな。。
せっかく発芽してるのに成長が止まるのはショックです。
まだ発芽していない種に期待したいと思います。
【播種2回目】2021年8月19日 鉢に移し替えました
今回のブレビカウレの実生も惨憺たる結果っぽいです。
3粒残ってくれたので前回よりか良いですが、14個中ほとんど種は発芽して生長途中でダメになりました。
残ったこの3つですが、1つは葉が片方しかありませんし、もう1つはヒョロ長い…大丈夫なのか?
せめて半分弱は成功したかったのですが初心者に恵比寿笑いの実生は少し難しいものなのでしょうか。
ちょっと悔しいのでまたseed stockさんで買って追加してみます。
【播種3回目】2021年8月 恵比寿笑いの種、3度目の購入
今回もやり方を変えて挑戦!
改善してくれることを祈るばかりです。
【播種3回目】2021年8月22日 3回目の播種
今回はドリルで穴を開けた100均のアクリルケースで行います。
3個くらいは生き延びてほしいものです。
【播種3回目】2021年8月28日 カビが生える
今回もカビの侵食が始まりました。パキポって何してもカビるんですね…
早めに発芽してくれた個体は元気に成長中です。
右のプックリしてる方は理想形です。
用土を細かくしたおかげで立ち上がりも良いです。
種パンパンで今にも発芽しそうに見えるんですがカビ発生。
アデニウムもアガベも、カビは生えなかったのに何でパキポはこんなにカビるんだ…
【播種3回目】2021年9月2日 14個中4個が発芽
8月28日から変わらず4個、発芽途中で力尽きたりカビに侵されたり…
3回目なので半分くらいは成功してほしかったのですが残念。
2021年9月2日 3回分の実生を1つの鉢にまとめる
前回の3個と同じプレステラにまとめました。
丸で囲んだものが2回目の実生で発芽した分で、それ以外が3回目の実生で発芽した子です。
1回目:5個中 0個
2回目:14個中 3個
3回目:14個中 4個
合計 33個中 7個
カビ生えすぎです…
用土を変えてみたり置き場所を変えてみたりしましたが上手くいきませんでした。種自体は発芽するんですが、その後に力尽きたりカビが生えたりでちょと心が折れそうになります。
とりあえず今はこの残った子たちを元気に育てていこうと思います!
2021年9月9日 温室に移動
曇りの日が多いので温室に移動してみました。
右下がブレビカウレです。7粒から5粒になってしまいました。
2021年9月15日 播種から44日目
日数は2回目に実生した日付でカウントしています。
少し葉が増えてきて順調です。
2021年10月4日 播種から63日目
5本とも生長中なのですが、9月頃から発生している植物ライトの葉焼けの症状がブレビカウレにも出始めました。。
調整しているのですが悪化する一方です。
2021年10月30日 播種から89日目
7月に実生したパキポディウム・ホロンベンセの方は完全に落葉してしまいました。
ブレビカウレも1番ダメージが大きかった右下の子は幹もしぼんできています。
左の子が元気そうなのが逆に不思議w
2022年3月16日 播種から226日目
1本脱落してしまいましたが、10月30日(前回)しぼんでいた子は膨らんできました。左下の子です。
葉の色は良くないですが、幹は少しずつ大きくなりました。
生長スピードは遅いですが焦らず様子を見ていきます。